改良①ペアの条件
一般的にロング・ショート戦略に用いるペアの選定は以下のようにして行われます(らしいです)。
市場の選定 → 業界選定 → 時価総額、出来高、売買代金、株価を用いたスクリーニング
これで似たような値動きをする銘柄集合が抽出されます。
次に割安、割高銘柄をPERやPBRなどの指標を元に銘柄集合をロング銘柄集合、ショート銘柄集合の2つに分けます。
最後に相関係数やβ値を元にロング集合、ショート集合から一つずつ抜き出してペアを作成していくようです。
でも、本当にこんな手続きいるのでしょうか?
最終的なペアの要件は「同じ刺激」に対して「同じような動き」をする、これだけです。
よって思うに必要なのは「十分な流動性」、「正の相関関係」これだけなんじゃないでしょうか?後の全部はこれに至る道中にあるおまけのようなものじゃないでしょうか?
ではまあアサヒとキリンを含めた食品大手銘柄5社長期の相関関係見てみますか。2年分の週次データを取ってきました。どうやらPythonを使って一気に読み込ませる方法があるようですので今度勉強したいです。
5社単純平均を取り、それぞれ個別銘柄との相関係数を計算してみたところ、アサヒだけ非常に低い値(0.63程度)を取りました。他銘柄は0.85以上の値を撮ったのですが。一応同じような規模の会社を持ってきたんですが興味深いですね。時間があるときに調べてみます。
相関係数が低いということはロング・ショートに適さないということでしょう。アサヒを除いた大手4銘柄を用いた新たなポートフォリオを次回から作っていこうと思います。
ロング・ショート試作品改善点
前回作った試作品には多くの疑問というか改善点がありますね。今回はそれを列挙してみます。
①アサヒとキリンはペアとしての要件を満たしているのか。
まず要件が不明確です。考えられるのは規模、日々の取引高、売上、利益率とかですかね。
②標準化の基準は標準偏差でいいのか。
市場からの引っ張られ具合にはβ(インデックスとの相関係数的な)という値がよく使われるようで、標準偏差よりもこちらの方が適任かもしれません。でもβ値って賭け金の大きさで変わるから違くないかとも思います。どうしましょうね
③250日分のデータでいいのか。
これはおそらくどんなタイムスケールで取引するのかにもよるでしょう。ですが250日分というのは明らかに季節効果を取り除けてません。ビールは夏売れるので今の時期株価は上がりそうですね。理想的には長期(10年スパン?)と短期(250日?)を組み合わせて現状把握とタイミング決定を考えていくべきでしょう。
長期の時系列データってどこで取れるんだろう?
④乖離率上昇の原因
前回の記事では乖離率が高い=チャンスと単純に結びつけましたが、そもそもなぜ増加したのでしょう?どちらかの企業ファンダメンタルの変化による恒久的な増加なのか?それとも英国離脱によるパニックが原因の一時的なものなのか?この原因は「乖離率が元の水準に戻る」見込みがあるのか左右するので考えなくてはなりませんね。ここが一番決定的だと思います。
⑤リスクとリターンの予測
チャンスがある、買う!だけじゃダメですよね。きちんと儲けと危険性の評価をしましょう。うまくいった場合のリターン予測はある程度できる気がするんですがリスクはどうしましょうね、、、
ロング・ショート戦略の手順(素人)
今回は具体的な手順について考えていきます。
①銘柄選択
似たような値動きをする(と思う)銘柄を見つけましょう。同じ業界内で資産規模や取引額が近い2銘柄をもちいます。よくわからないので今回はビールで有名なアサヒとキリンでいいでしょう。
ボラティリティ(動きの激しさ)を元に標準化
株価の変動はほぼ全て相場に引っ張られて起こると仮定すると、標準偏差はその引っ張られ方を示す事となります。相場による引っ張られ方を合わせるように取引単位を考えます。例えば相場全体の値が1単位上昇した時、アサヒは2単位、キリンは0.5単位それぞれ上昇する性質を持つとします。ロング・ショート戦略では相場全体の変動から影響をなくすのが大きな特徴であるため、この場合はアサヒ1単位のロングに対してキリンは4単位のショートが必要となります。こうすることで相場が1単位動いた際、アサヒとキリンの値動きが相殺しあって2×1+0.5×(-4)=0、全体としては値動きが0となります。
今回は2016年6月30日に至る250日間の値動き標準偏差を計算し、それを用いて値を割りました。日足終値を利用しています。
それぞれの標準偏差はアサヒ254.2、キリン108.0となりました。
これが最終的に欲しかった図です。昨年に比べて乖離率が大きく上昇していてロング・ショートにうってつけですね。
2つの標準化された値の乖離率の変化を調べました。
最近になって大きく上昇しているのがわかりますね。市場全体のボラティリティの変化など要因があるのでしょうが今は何も考えません。ただのチャンスと捉えます。
ちなみに250日間の乖離率の平均は7%、標準偏差は1.7%です。乖離率が先に求めた値を元とした正規分布に従うとすれば直近の乖離率20.4%は7σ、存在確率は1.97×10-10%と非常に低い状態だとわかります。
(どうやら正規分布に従うと考えるのはあまりに楽観的でベキ乗分布に従うようです。)
250日分の株価分析からはアサヒ 1 / 254.2円のロングあたりキリン 1 / 108円のショートは儲かると考えられますね。
デモ口座でキリンHD 500株(1747.5)の空売り、アサヒ 100株(3333)の買いをしました。カッコ内は平均約低価格を表しています。
これからいろいろ学びながら補正をかけていきます。暖かく見守りください。
ロング・ショート取引はじめてみましたー
「ザ・クオンツ」という本を読んで株に興味が湧いたので、少しデモ口座で取引してみることにしました。その中でも特に面白いと思ったのが「ロング・ショート戦略」という投資戦略です。
ロング・ショート戦略とは
2種の銘柄を用いた理論上「どんな相場でも負けない」戦略です。一方の銘柄を「買い(ロング)」、もう一方を「売る(ショート)」する事で互いを相方の保険として働かせ、それによって相場全体に引っ張られて損益が出るのを防いでいます。しかし、これって利益も出ませんよね?
どうやって利益が出るのか
機関投資家がロング・ショート戦略を用いる場合、企業を入念に調査し業績予想、将来価値算定、現状株価の把握に至るようですがそんな大それた事は初心者の私にはできません。そこで用いるのが「乖離率」です。
乖離率を用いたロング・ショート戦略
似たような規模、業種の銘柄は似た値動きをすると考えられます。そして似たような動きであるということは、それら2銘柄の値の開きは常に同じくらいの値をとるはずです。今回のロング・ショート戦略は不自然に乖離率の小さくなった、あるいは大きくなったペアを探して、それが元の乖離率に戻る力を利用して利益を出す手法です。図では「チャンス!!」と書かれたポイントで乖離率が大きくなっているのでここで銘柄Aに売り、Bに買いを入れて元の水準まで持つことで利益が出ることとなります。
では、次からは具体的な手順について話します。
(にわか知識を元に考えた試作品ですが、、、)
はじめまして
はじめまして、XiaoHeiXともうします。
これから書評や心に残ったことを記事にして残していきたいと思います。
よろしくお願いします。